読了 - NEVER LOST AGAIN

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かつては道に迷う自由もあった、ってのは中学だか高校の国語の教科書に出てきた記憶がある。 Google Earth、Google Map, ストリートビューそれらの誕生の話。

当時自分は中学ぐらいだっただろうか、まっぷるの地図を買っていろんなところを見ていた記憶がある。 住宅地図はどこから手に入れたんだろう。 Perlという言語も知らず、箱庭諸島で遊び、どこかの掲示板で書き込みをしていた、Age of Empire Ⅱのパッケージゲームを雪の中、セブンイレブンだかに取りに行った。 WInMXなんてものもあっただろうか。 そのたった数年後、高校でガラケーでメールを打っていたころ、世界の裏側ではすさまじいことが起きていた。 高校の卒業のころ、自転車で八王子から二子玉川あたりまで行った。海が見たくて、湘南の海までも行った。まだブックオフで買った地図を握りしめてた。

大学でコンピュータサイエンスを学んで、どうもCSSってのはなかなかにすごいやつで 同じhtml構造に対してあっという間に見た目を変えることができるんだなんてことをやっていたころ、 Google Earthをブラウザで見た記憶がある。

これFlashなのか?でもFlashのアニメーションを作ってるやつに見せてもらったやつとはずいぶんと違うな。 どうもこれはAjaxっていう技術を使っているらしい、 動的にページをロード?動的にページを構築?ブラウザってhtmlを表示してCSSで色付けて、JavaScriptってのは危ないんだろ? なんでこんな八王子の端っこのほうの地図まで乗ってるんだ?世界から注目されるような街だったか? というかこれ体験版だよね?なんのパッケージも買ってきてないんだけど。

今まで、きらきらてかてか文字色や背景色が変わるだけだったWebの世界が はっきりとその形を見せ、これこそが未来なのだとそう思わせてくれた。 大量のデータがシームレスに配信されてその場にどんどん出てくる。しかも動画とは違ってインタラクティブに。

当時の自分にはこれの存在が何を意味するのかを十分に理解はしていなかった。 が、それは自分に限らず、ラリーとセルゲイ以外には作ってる人ですらわからなかったらしい。

アメリカ全土を5年かけて起こした後、世界の上位200都市の航空写真を買うために300万ドルの予算を求めていったMTGで

「地球全土のライブラリ、まるごと買いあげたら?」

と言い放ち実際に800万ドル分かけて買ってしまった。

良いシステムは情報をよりよく映し、よりよく映された情報は新たな情報を集める。無料ならなおさら。 そしてそうして集まった情報は、ほぼすべての人類を道に迷う最後の世代としてしまった。

昔、研究者になりたかった時期があった。それは個人の幸せよりも、人類としての一歩を進めることこそ人生の本義だと思っていたから。 Google Mapは実は発明としての新しいことはしていない。 世界中の地図会社が無料で地図を提供し、航空写真を集め、路線・バス、道の名前や建物名前があり、それをちょっとブラウザで映すだけだ。 ただそれを、信じられないスピードで組み合わせ、無料で表示しているだけだ。

ただ、それがどれだけ実現不可能か、それは当時でも今でも容易に想像ができる。

あと5年ぐらい早く生まれて、時代の変遷を大人の目で見たかった。 学生の時に時代が変わりすぎてて追えていない。追えなかったのが年齢が原因か、時代が原因かわからんのだ。

でもまぁ、この時代でこのプロダクトを目の当たりにできた素晴らしさはかみしめよう。 あと技術的な内容はもうちょっと読みたかった。